こんにちは。
いたばし空き家管理センターを運営している、行政書士の毛利です。
先日、事務所のあるマンションのゴミ捨て場でネズミを見かけました。
日時を問わず、可燃ごみを捨ててしまうことができるのが原因の一つだと思います。
食べる物がたくさんあるんで、ネズミはどんどん増えちゃいますよね。
ネズミ自身のせいではないとはいえ、不潔な環境を住み家としてしまっているため、様々な病原菌を媒介します。
噛まれたりしたら大変なので、注意が必要です。
みなさまの空き家は大丈夫ですか?気をつけてくださいね。
さて、本題です。
使用貸借とは?
みなさんは「使用貸借」ってご存知ですか?
いわゆる、タダ貸しです。
貸主と借主の信頼関係の上に成り立つ、大変「弱い」権利です。
登記もできません。
でも、これが空き家を貸すときの有効な選択肢になるのです。
古い空き家を貸すときの注意点
空き家をそのままにしておくのは、経費ばかりがかかってもったいない。
家屋というのは、人が使っていないと悪くなる一方です。
でも、自分では使う予定がない。
そういった場合、やはり、他人に貸す方法はないかな?っと思いますよね。
よくあるのは、賃料を安くする代わりに、借主側で改造などすることを定めた、賃貸借契約を結ぶことが考えられます。
この場合、少し注意が必要です。
必要費と有益費
必要費は水回りの修理など、その物件を使用するために必要な費用のことをいいます。
有益費はトイレをウォシュレットにグレードアップするためなど、物件の価値を上げるための費用のことです。
必要費はすぐに払わなければならない、有益費は契約終了時に清算する、という違いはありますが、民法によると、どちらも貸主が負担することとなっています。
空き家は築年数が古く、傷んでいる部分も多いことが考えられるので、この費用が多額になる可能性があります。
造作買取請求権
賃貸借の期間中、貸主の了承のもとに借主が、例えばエアコンなどを設置することがあります。
特に取り決めがない場合、借主が付加したこういった設備は、契約終了時に貸主が買い取ることになってしまいます。
ただし、これは契約で排除できます。
結局多額の費用がかかってしまうことも
せっかく安く貸したのに、後から多額の費用支払いが発生してしまい、最終的に貸主が損失を被ってしまう可能性があります。
日本における賃貸借では、借主に有利なルールとなっています。
このルールは多くが強行規定といって、特約で排除できません。
契約時には和やかであったとしても、途中の修繕費の負担でモメたり、退去時にモメたりすることは簡単に予想ができてしまいます。
必要な時に返ってこない
さらにもう一つ。
貸した後、急に事情が変わりその空き家が必要となった時、賃貸借ではなかなか返してもらえません。
通常、貸主からは容易に契約を終了させることはできません。
仮に、借主が亡くなった場合でも、賃借権は相続されますので、契約は終了しません。
どうしても必要なら、立退料を支払うことも考えなければなりません。
また、退去時には、造作買取請求などを覚悟しなければならない場合もあります。
定期賃貸借ならどうか?
定期賃貸借契約にしておけば、期間が終了すれば物件は返ってきます。
それでも造作買取請求や必要費、有益費のリスクは付きまといます。
途中解約ができないこともネックとなります。
使用貸借なら全部解決!
こんなとき、使用貸借の場合はサラッと解決します。
必要費、有益費は借主の負担です。
借主に造作買取請求権はありません。
契約は、双方どちらからでも、いつでも終了させることができます。
借主が亡くなった場合、使用貸借は相続の対象ではないため、契約は終了となります。
家賃がもらえないのでは?
問題は賃料がとれないことです。
しかしこれは、建物使用の対価としてもらわなければいい話です。
別途何かしらの契約を締結して、金銭を収受することは可能です。
とはいえ、借主が弱い立場であることも考慮しなければなりません。
お互い創意と工夫を凝らしてよく話し合い、納得した上で契約を結ぶことが大切です。
空き家を貸そうと思われる方は、一度検討してみてはいかがでしょうか?
最後に
使用貸借というと、なじみが薄いように思う方も多いと思います。
東日本大震災の時に利用された、「みなし仮設」という制度があります。
応急仮設住宅に入居するのではなく、通常の賃貸借住宅を仮設住宅として利用する制度です。
この時は県が貸主から一括して借り上げるシステムを採用していました。
被災者は家賃を負担することなく入居できるわけですが、この時、県と被災者の間で締結されていたのが、使用貸借契約です。
実際には入居申込書などの書類に「使用貸借」という文言が出てこない県もあります。
しかし、どういう権利をもって入居しているかと考えれば、使用貸借しかないわけです。
どうでしょうか?少し身近に感じることができましたか?
いたばし空き家管理センターでは、こういった、貸し方のご相談や必要な手続きに関するご相談も承ります。
ご不明な点は何なりと、お問い合わせください。
最後までお付きあいいただきありがとうございました!